札幌さくら旅(平成17年南区)

 今年の春は寒さが続いて、桜も遅かった。それでも寒さの中に桜は咲き、そしてやはり寒さの中に散り急いでいった。束の間の札幌の5月である。

豊平川上流 十五島公園

藻南公園

広大な真駒内公園の桜は、酔客もなく静かな姿を見せている。散る前の静謐ともいえるひと時である。

少し散り始めの真駒内中央公園、介護士らしい数人に付き添われて、車椅子や杖ついた老人たちが散策している。ゆったりと暖かく、きょうは穏やかである。

さまざまの

  こと思い出す

     さくらかな



 芭蕉の句である。ありふれた言葉づかいのなかに、

                ふと花に重ねる我が身の今を思い起こさせてくれます。

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平成17年5月20日撮影

ああ、疲れた胸の裡(うち)を 桜色の女が通る 女が通る

                 中原中也 「夏の夜」より