言葉とリズム
 現代詩を朗読するテレビ番組を見た。黙読から少し離れて、「ことば」のリズムを楽しむ風潮が出てきたのは嬉しい。
 太宰治は、「トカトントン」 「ギロチンギロチンシュルシュルシュ」の音が耳について離れず、詩人萩原朔太郎は、「鉄筋コンクリート」の語が「テッ、キン、コン」とはじけ、「クリート」と流れるリズムに、隠された意味を求めた。「ぽっとり」「ほっくり」「ほろほろ」・・、山頭火の句からは、生活に紛れて忘れかけていたぬくもりが伝わってくる。
 およそ詩心とは無縁の税の世界ではあるが、資産税の用語に「想定整形地」というのがある。四角形でない土地などにあてはめる評価のための仮想の外接長方形を指す技術的な用語であるが、「ソゥティセィケィチ」のシラブルが妙に耳に心地良い。
 確定申告期も半ばである。「カク、テイ、シン、コッ、キ」と弾むように呟いてみると、伸びてきた日差しに崩れていく積雪の名残りの音が仄かに聞こえてくるようである。