老いの予感に寄せて

 捨てきれぬ荷物の重さまえうしろ

飲んだくれの俳人、山頭火の悲しいうたである。身軽になることをひたすらに望み、そして身軽になることが自分をどんなに解放するかを分かり過ぎるほど分かっていても、人は過去のしがらみを否応なく背負いそしてこだわり、あたかもそれが宝物でもあるかのように未来永劫背負っていこうと、悲惨な覚悟を無意識に決めているのかも知れない。

 老いることの欠点は、持ちすぎること、捨てられないことだと聞いた。その予感が確かにある。