川の流れのように
 「えっ!、なんでこの歌なの・・・」、今年のとある会の女性部新春懇談会、美空ひばりのこの歌の突然の大合唱に、私はその場で鉢の金魚よろしく、口半開きのまま立ちすくんでいます。
 女性部長がそっと教えてくれます・・・「部創設のときにこの歌が流行っていて、それで女性部の歌にしました」。
 時はいつの世も、人の想いには気づかぬかのように、そのすべてを押し流してしまいますし、その流れに身を委ねている者には、どこかに栞でもはさんでおかなければ流れていくことの想いさえ、時には遠くなってしまいます。
 でも10年とは、その時の襞の一つひとつにしまいこまれたものが、たとえどんなにたくさんの苦労や嘆きや渇きの記憶であったとしても、ゆっくりと暖めながらいつの間にかそれをうま酒に変えてしまうことのできるそんな期間でもあり、この歌はその栞なんだと、ひとりよがりの私は勝手に想像を巡らせています。
 この会に加入して女性部に入ったのも、その動機はさまざまだったと思いますし、折々に聞く税金の話はやはり七面倒くさいものが多かったのではなかろうかと密かにご同情申し上げます。
 でもその時その時の税の話題は、やはり経営と分かちがたく結びつき、動いている社会や現実を映し出していたのではないだろうかとも考えています。
 そしてそれ以上に、部会で多くの知人を作ることができたことは、やはり貴重な財産だったのではなかろうか。たとえその知人が別のグループでの知人だったとしても、この会を通じての交流は、やはりこの会としての意味を持っていたのではないだろうかとも・・・。
 今年は、昨年の金融への信頼のゆらぎを引きずったまま、今までになく先の見えにくい中で始まりましたし、現在でも手探りで出口を模索している状況が続いているように思われます。
 でも、皆さんのこの栞に託した力強い歌声には、その歌詞のように「いつかはまた、晴れる日が来る」ことを信じ、自分に号令をかけ仲間と励まし合って、このもやもやを吹き飛ばしてしまえるだけの自信とファイトを感じることができます。
 税を巡る論議には果てないものがあります。公平とか中立とはどういうことなのだろうか、大きい政府と小さい政府どちらを選んでいけばよいのだろうか、景気や福祉には今何が必要なのだろうか・・・。
 そしてそれは決して政治の問題なのではなく、私たち一人ひとりが真剣に考えていかなければならないことである筈です。
 女性部会がこれからの更なる5年10年その先を、悠々たる大河となって果てしなく流れ続けて行けますよう心からお祈りいたしますとともに、記念すべき10年目の今日とこれまでの10年のすばらしいご活躍を万感こめてお祝いいたします。