(我がリカバリー奮闘記(1)からの続き)さて問題の翌日になった。今までどおりパソコンのスイッチを入れて起動する。昨日の約束どおり間もなくハードディスクのエラーチェックらしき画面があらわれ、進行状況が示される。このチェックで私のパソコンが修復されるかどうかはともかく、進行中を示す画面はとりあえずの安心感を与えてくれる。修復されないにしても現状より悪くなることはあるまい。やがてチェックが終わり再起動が始まった。
 そこからが問題だった。やがてセフティモードでの起動画面が表れ、次いでウインドウズらしき起動画面へと移行した。だが間もなく表われたのは再び当初のセフティモードと同じ画面であり、しかもそうした動作が何度も繰り返されるだけでウインドウズへは移行していかないのである。仕方なくスイッチを切って再起動してみるが、結果は同じである。つまりパソコンは突如としてパソコンとしての役割を放棄してしまったのである。

 いよいよパソコンそのものを買い換えるしかないか、との思いが頭をよぎる。もちろん未経験ながらリカバリー(購入時の状態に戻すこと)を知らないではない。だがリカバリーとはまさに7年前の購入直後の状態に戻すことを意味している。そうした場合、どうしても気になることにウインドウズXPとエクセル・ワードのバージョンアップ、それにインターネットへの接続問題があった。

 このパソコンを購入したのはウインドウズXPマシンが発売されたばかりの頃であり、間もなくXPプログラムのバージョンアップ版XPSP2(サービスパック2)旋風が吹き荒れた。XPの全面書き換えとも言えるほどの大掛かりなもので、私も当然この騒動に巻き込まれた。プリンターが動かない、音声が出ない、ソフトが動かないなどのトラブル情報がネット上で飛交った。メーカーであるマイクロソフト以外の業界のマシンやソフトがSP2に必ずしもきちんと対応していなかったのが原因だと言われている。
 また私のこれまでのインターネットへの接続方法は、ダイヤルアップ、ADSL、ソフトバンク光回線、NTT東の光フレッツへと変化しており、その都度担当者が来て調整してくれたので自分で接続することなど思いもよらない。

 どのくらい要しただろうか、SP2へのバージョンアップは苦労の末どうやら順調に動き出した。やがて毎週のようにアップデイトが繰り返され、現在のマシンはSP3の状態にある。つまり昨日まで動かしていたマシンは、私が7年間手塩に掛けて育て上げてきた我が子同様のXPマシンであり、そのために費やした時間もまた膨大なものになっている。それをリカバリーによって再び一から繰り返すなど気の遠くなる話であり、とてもついていくことなどできない、そう思ったのである。
 XPプログラムの最新版をネットから直接入手する方法があるとの話を、どこかで聞いたことはある。だがこうしたプログラムの入手は一般的には英語で説明された画面からダウンロードすることが多い。だとするなら、英語の知識が皆無に近い私にしてみれば、現実的には不可能な方法である。こうしたプログラムの改定はエクセルやワードについても同様で、7年間のアップディトの中でXPプログラムの改定などと一緒に改定・修正され続けてきたからである。

 しかしながら現にパソコンは破滅状態にある。ごみとして廃棄してしまうならともかく、残る手段は専門業者に修理を依頼するか、はたまた自分でリカバリーするしかない。電話した業者の話でもきちんと修理できる保障はないとのことだし、業者そのものもリカバリーを仄めかしている。ならば自分でやってみるのも方法である。新しいパソコンの購入まで考えたのだから、失敗したところでかまうものか、の心境である。

 リカバリーのCD−ROMは残してあるし、操作方法の説明書の在りかも分かった。残るは実行のみである。CDをセットしてリカバリーを選ぶと間もなく、最終的な実行までに「すべてのデータが削除され購入時の状態に戻るのでデータのバックアップをとるように」との指示が何度繰り返されたことだろうか。そのたびにyesを押すのにどこか気後れする思いは残るが、かと言ってそもそもウインドウズが起動しないのだから新たにバックアップを更新したり追加したりすることは不可能である。もちろんハードディスクから直接データを有料で復元する業者がいることは知っているけれど、とても高価でありそこまでするような価値のあるデータでもないので断念する。

 特に難しい操作もなく、数分を経てどうやらリカバリーは終わったようだ。さてマシンは正常に動くのか。すごい、ちゃんと動き、しかもちゃんと終了したのである。しかも気になっていたインターネットにも自動的に接続ができていたのである。おそらくモデムかルーターにパソコンの設定情報が残っていたせいだとは思うのだが、思いがけない嬉しい結果であった。
 そしてやがてパソコン下部のタスクバーにウインドウズアップディトの用意ができましたとのアイコンが表われた。クリックすると数本のプログラムのダウンロードが求められ、そのうちにSP2の選択が求められインストールが始まった。そして何度かのアップディト情報があり、多少時間はかかったもののそれほどの苦労もないままSP3にまで届いてしまった。

 さてその次はパソコンに付属してたプログラムのインストールである。購入当初は付属のソフトはなんでもかんでもインストールしてしまったけれど、7年間の利用の中で必要のないものがけっこう多いと分かってきたので、今回は選別ができる。そして気になっていたエクセル・ワードも、付属しているoffece2003のCDをインストールすることで利用可能になった。そしてこれも読み取ると同時にバージョンアップへと誘導され、数度のアップディトを繰り返すことで最新版にまで到達した。

 そしてこれからが問題の復元である。つまり10日前にSDメモリーに保存したデータがきちんと復元できるかどうかである。まず第一に気づいたのは、リカバリーはハードディスクのパーティションの内、消去されるのはCドライブのみでDドライブは手付かずのまま残っていたことであった。そしてSDメモリーに保存したデータの再コピーはあっさりと終わったことで、10日前までのデータはそのまま復元することができたのである。

 もちろん保存しなかった直近10日間のデータは当然残っていなかった。その中には書きかけのホームページの原稿などもあり、それが完全に消失してしまったことは残念だった。そのほかにもインターネットから無料でダウンロードしたプロラムやインターネットのお気に入りに登録してあるアドレスなども保存していなかったのでそのまま消えてしまったことも多少心残りだった。それでも購入したプリンターのドライバーやプリントソフトなどは、添付されていたCD−ROMは保存してあったのでそのまま復元できたし、かくして私のパソコンはこれまでどおりに復活したのである。

 こうなるまでには3日〜4日かかったけれど、こうして私のリカバリーへの挑戦はどうやら自らの力でやり終えることができた。教訓は二つだけ。一つはデータのバックアップは日常的にとっておく必要があること、それにインターネットから入手したプログラムなどはダウンロード時にCDなどに保存しておくこと、であった。とは言え毎日のデータバックアップは、その必要性はともかく実行については相変わらず難しいのであるが・・・。その背景には、まるで新品を買ったかのようにリカバリー後のマシンはすっきりと何のトラブルもなくすいすい動いてくれ、トラブルなど二度と起きないかのように素直にしていてくれるからである。


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                                     2011.2.4    佐々木利夫


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