7年ほど前に手に入れたウィンドウズXPのデスクトップ型パソコンが、今年に入ってから少し機嫌が悪くなってきた。若いころからBASIC言語などを使った初歩的ないわゆる「マイコン」に興味があってそれなり勉強してきたものの(別項「私のコンピューター事始め」、「コンピュータがやってきた」参照)、ここまでパソコンが発達してしまうとすっかりお手上げの状態である。とにかくパソコンに組み込まれているプログラムだのファイルのトラブルだなどと言われても、最近の知識のまるでない私には丸っきり追いついていけない。

 画面が操作ボタンやマウスなどを受け付けなくなるいわゆる「フリーズ状態」程度のトラブルなら、特定の3つのボタンを同時に押せだとか、それでも駄目なら電源スイッチを長押しせよくらいの解説書の教えに従うことでなんとかなる。もっともそれとて実のところ「ボタンを押せ」などの物理的な操作をしているだけの話で、フリーズの内容を理解した上で作業をしているわけではない。ところが今回のトラブルはどうもそれとは様子が違うのである。

 普通でないトラブルが見舞ったのは年が明けて間もなくであった。ウインドウズが突然終了しなくなったのである。これまではスタートボタンからの終了方式で何の問題もなかったのだが、ある日突然「このプログラムが応答していません」とのメッセージが数十秒間続く画面が繰り返されるようになってきたのである。マウスでプログラムの終了を指示しても、また別のプログラムの応答不能の画面が現れるのである。しかもそうした状況が20数個のプログラムで繰り返され、その挙句30分40分を要した後にフリーズ状態になってしまうのである。こうなっては打つ手がないので、最終手段である本体の電源ボタンの長押しでパソコンを終了させるしかない。

 ところで再度パソコンを立ち上げると、どういう加減かきちんと言うことを聞いてくれて、インターネットはもちろんのことメールやその他の操作、プリンターなども含めてマシンは正常に動いてくれるのである。それにもかかわらず、またパソコンを終了しようとすると再び以前のようなフリーズ状態になってしまうのである。

 当面起動はできるので利用に支障はないのだが、使い終わるたびに何度も強制終了を繰り返すのはどうにも落ち着かないし、それにパソコンにとっていいことだとは思えない。それで時計表示なども含めて常時稼働状況にある天気予報やニュースなどのプログラムを削除することにした。「プログラムが応答しません」とは、きっと稼働中のプログラムが影響しているのではないかと考えたからである。うまくいった。なんと一発でパソコンは正常の終了モードに入ってくれたのである。我がパソコンに対する実力に、その原因もきちんと分からないままではあるものの解決できた快挙の思いをそっと重ねたひと時であった。

 だがその喜びも3日とは続かなかった。再び終了の呼びかけに応答しなくなってしまったからである。「そろそろこのマシンも寿命か」、そんな思いに駆られるが、それでもまだ立ち上げるのは順調なので今のうちにできることをしておかなければならない。7年も使ったのだから、そろそろ後継機であるウィンドウズ7(セブン)のマシンを新しく買うことも検討しなければならない。しかしパソコンを買い換えるにはいろいろ問題がある。現在使っているソフトや周辺機器との互換性である。
 現にプリンターはそのままでは使えず、新たにメーカーからセブン対応のドライバーを入手しなければならず、その組み込みもどやら一筋縄ではいかないことが分かってきた。それに使っているソフトの多くは現在のパソコンに最初から組み込まれているもので、異なるパソコンには移植できないことが分かってきた。だとすれば新しいプリンターや必要なソフトの購入も検討しなければならない。

 それにしてもこうしたホームページに発表した作品のデータや、取り込んだ音楽、デジカメの写真、スキャナーからのデータや更には住所録などのデータ、それにワード・エクセルのデータなどもかなりの数に及ぶ。そんなデータまでパソコンとともに埋葬してしまうことはない。驚くほど安価になった未使用のSDメモリーが手元にいくつかある。2G(ギガ)の比較的小さな容量のメモリーだがこれを使うことにする。試しに行ってみたホームページのデータのコピーはあっさりと完了し、どうやらきちんとコピーされていることが分かった。それで次いでマイドキュメントのデータに移ったが、これもそれほどの時間を要せず無事にコピーができた。

 これが1月17日のことである。その日の帰途、近くの電気店でセブンのマシンや必要なソフト、それにプリンターなどの品定めに行ってきた。買うかどうかはともかくとして、10数万円から20万円弱でなんとかなりそうである。データをコピーしたことで、気持ちの上だけにせよ一安心の心地がしてくる。
 それでもとりあえずは電源長押しの方法にせよXPパソコンは動いてくれているのだから、あわてて新しいマシンに手を出すことはない。数日で元の木阿弥になったとは言え、とりあえず解決した経験に触発されて他に常時稼動しているソフトがないかどうか探し出し、そのソフトを外すことで再度の復活ができるかも知れないと思いつく。

 こうした安心感が多少裏目に出たのではないかと思うのだが、早速更なるXPパソコンの中身の検討に入ることにした。不調に関係があるかどうかはともかくとして、ハードディスクの状態を調べることにした。まず第一はデフラグ(何度も書き込みや消去を繰り返すとファイルの中身が断片化してしまうのでそれを整理すること)を考えたが、デフラグが必要なほどファイル断片化はしていないとのマシンの判断が示されたのでこの操作は取りやめることにした。ところでそのデフラグと同じページに「エラーチェック」というタイトルの項目があった。なんとエラーを見つけると自動的に修復するとの説明が書かれているではないか。自動修復が今回のトラブルにどの程度有効かは分からないけれど、それでも魅力のある言葉である。さっそく実行することにした。なんでもこのチェックは直ちに行なえず次回のパソコン起動と同時に実行するとのことなので、「yes」にチェックをつけ今日のパソコン作業を終え実行は明日に決めた。

 何が原因でこうなったのかまるで理解できないけれど、この「yes」のチェックがこのリカバリー騒動の発端になってしまった。さて、その顛末と経過については次回で説明することにしよう。


                                     「我がリカバリー奮闘記(2)」へ続く


                                     2011.2.2    佐々木利夫



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