こうして羅列してみると、この頃の私の読書傾向は大きく二つに分けられるような気がする。心理学がけっこう多く、それに数学や宇宙にも興味があったようだ。それに反して小説などがまったく見当たらないのは、読まなかったのだろうか、それとも専門書のコピーを残すことで後世の自分に対し衒学的な思いを託したのだろうか。こうした読書の傾向は今でも僅かに残しているけれど、それにしても読んだ記憶がまるで残っていないことは、もしかしたら私の成長にこうした読書はなんの影響も与えなかったことの証拠なのかも知れない。

No 昭 和
年・月
    書             名    著         者   出  版  社
54 53.1 精神分析と女の解放 J・ミッチェル 合同出版
55 53.1 記憶の秘密 D・S・ハラシー ?信社
56 53.1 決定の本質 キューバ・ミサイル危機の分析 グレアム・T・アリソン 中央公論社
57 53.1 現代の読書心理学 阪本一郎 編著 金子書房
58 53.2 子どもの精神分析 スーラ・ウルフ 河野心理
59 53.2 心理療法の基礎知識 佐治守夫・水島恵一 有斐閣ブックス
60 53.2 日本人の性格・県民性と歴史的人物 宮城音弥 東書選書
61 53.3 精神的小史 E・H・アッカークネヒト 医学書院
62 53.3 狂気と脳 分裂病の精神薬理 S・H・スナイダー 海 鳴 社
63 53.3 愛の臨床心理 岡堂哲雄 不 明
64 53.4 心理学のあゆみ 宇津木 保 他 有斐閣新書
65 53.4 知能の進化 知的行動の一般理論 テヴィッド・ステンハウス 佑 学 社
66 53.4 学習心理学 坂元 昂 他 新 曜 社
67 53.5 続 感受性訓練 関 計夫 誠信書房
68 53.5 無意識の心理 C・G・ユング 人文書院
69 53.6 文化人類学読本 吉田禎吾 編 東洋経済
70 53.7 セルフコントロール C・E・ソレンセン 他 福村出版
71 53.7 心理学と医学のあいだ S・J・ラックマン 他 紀伊国屋書店
72 53.7 ひく文化・おす文化 高津眞也 講 談 社
73 53.7 人間性の探求 A・J・サティック 産業能率短大
74 53.8 人間援助の心理学 ローレンス・M・ブラマー サイマル出版会
75 53.8 行動分析学 行動と文化 西田泰夫 講 談 社
76 53.8 複眼の論理 ロバート・J・リンガー 三笠書房
77 53.9 自殺の心理学・精神医学 大原健士郎 編 ?文堂
78 53.9 ローゼンバーグ事件の全貌 上巻 ルイス・ナイザー 文化放送
79 53.9 公民の倫理 P・フルキエ 筑摩書房
80 53.10 自殺と文化 大原健士郎 編 ?文堂
81 53.10 痛みの心理学 ペインコントロール E・R・ヒルガード 黎明書房
82 53.10 ローゼンバーグ事件の全貌 下巻 ルイス・ナイザー 文化放送
83 53.11 法の周辺 その折り折り 平出 禾 不 明
84 54.3 人間世界の心理学 早坂泰次郎 川島書店
85 54.3 カレワラ タリナ フィンランド民族叙事詩 坂井玲子 第三文明社
86 54.3 書かれた法律と生きた法律 横田喜三郎 東書選書
87 54.4 ユキの日記 病める少女の20年 笠原 嘉 編 みすず書房
88 54.4 青年期の精神障害 I・B・ウェイナー 星和書店


 昭和54年4月、39歳になった私はこのコピーを88枚で中断している。意味がないと感じたのか、それとも読んでも読んでも身につかないことに嫌気がさしたのか・・・。読書の習慣は今でも続いているし、その数も年に70冊前後になる。読んだ本の書名はここ数年来書き連ねているけれど(別稿「読書記録(平成23年24年、他)参照」)、同じ本を何度も借りてしまうことがあるなど相変わらず記憶に残らない読書を続けている。こうした行為もまた30数年前のコピーと同じ傾向を示していると言えるのかも知れない。

 年末の書棚整理で出てきたコピーだが、読書したであろう事実は認めるけれどコピーそのものは何の役にもたたないことに改めて気づく。せめてここにその書名を残すことでコピーそのものは紙くずとして処分してしまうことにしよう。多少の未練が残らないではないけれど、その未練がどこからきているのかと自問しても答えは出そうにない。ここへの発表を墓名碑とすることで、30数年前の記憶のよすがにでもすることにしようか・・・。


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                                     2012.1.12     佐々木利夫


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私の39歳の読書(2)