254 金払いのいい日本 メモ 2012.7.14

 太平洋島サミットで野田総理大臣が今後3年間で5億ドルのODAを供与すると宣言していた。総工事費3兆4.千億の新幹線で国と自治体の負担は2兆円だという。ヨーロッパは危機の最中で、6月29日のユーロ圏サミットでの合意によると、インフラ計画などに投じる成長・雇用のために12億ユーロ(日本円で約12兆円)もの援助協定を採択したという。新聞によれば、世界防災会議in東北が7月3日に仙台市で63カ国+14国際機関が参加して開催され、野田総理大臣は日本として防災対策として途上国支援に30億ドルを明言している(朝日新聞)。7月8日にはアフガニスタンに日本は5年間に最大30億ドルの資金を援助するのだそうである。日本の財政が赤字だからと言って、国際援助を単純に無視することはできないだろうけれど、国民からの借金がどんどん積み重なっていく我が国の現状を見ていると、どこか気になってしまう。

255 幸せの意味するもの 新聞切り抜き、メモ 時期不明

 「・・・標高2300メートル、ヒマラヤの王国ブータン・・・、『国民総幸福』という開発理念・・・。社会の発展は物質的な豊かさの追求だけでなく、精神的な豊かさや国民の幸せの実現が不可欠だとする。(この指標は)国民総生産(GNP)に代わる概念として、約40年前に当時の国王が提唱した」(朝日新聞 風 誰もが幸せ 感じられるように アジア総局長)。
 人口の97%が幸せだと答えたのだそうである。「そんなバカな」と一瞬思い、そして「あゝ、この国は本当に幸せなのかも知れない」と思った。それは幸せとは絶対的な評価ではなく、幸せと感ずる心の豊かさにあると思ったからである。そして同時に、海外からの車の輸入増、テレビなどによる海外情報の流入、更に幸せかも知れないけれど底知れぬ貧困の現実と海外からのきらびやかな映像とのギャップにも違和感が残った。閉鎖社会なら内輪で感じられる幸せも、豊かさに溢れる外国との対比の中で国民は幸福の実感をどう受け止めているのだろうか。

256 えりあし、えりもと、うなじ、くびすじ、ぼんのくぼ メモ 時期不明

 ある行為がセクハラになるかどうかは、つまるところ受ける側の発信者に対する好悪の程度によるところが多いだろう。だが、それと同じように、ある人の素振りや言葉の端々に色気を感ずるかどうかも、結局は好悪に還元されるのかも知れない。私はここで身体の部位の状況を言いたかったのだが、けっこう知識として知っている例えば「ぼんのくぼ」だの「ひよめき」だの「こめかみ」だのという名称も、どこなのか思い出せないことがある。そもそも呼称がついていない部位も多いのだろうか。
 それは首筋の真後ろの背中の中央部の始まりの部分である。ちょうど脊椎が始まる比較的コロンとした骨の突起から始まる背中と首の接合部分である。なぜそんなところが気になるのかというと、女性のその部分に汗が滲んでいる状態が色気という雰囲気にどうも結びついてしまうからである。「ひかがみ」(膝の後ろのくぼんだところ)、「こむら」(ふくらはぎ)、「ぼんのくぼ」(首筋の中央の凹んだ部分)などなど、いくら思い出そうとするのだが、どうしてその場所の名称に届かないのがもどかしい。

257 おとり捜査 メモ 時期不明

 タイトルは大げさだがテレビドラマでの話である。構成がどうにも甘くてあまり見ない和製のドラマが多い中で、ここ数年「相棒」シリーズは比較的面白いく見る機会が多い。シーズン11まで続いているのだから、それなり人気があるのだろう。がどうも「やらせ」と「引っ掛け」で事件を解決する筋立てへの誘惑は、ここにも浸透してきているように思えてならない。ドラマの最後には、結局犯人や名探偵が動機やトリックなどをくどくど自白もしくは解説するんだから、途中経過などどうでもいいのかも知れないけれど、あまりにもやり方がきたないと思ってしまった。
 @ A現場の指紋とB現場の指紋が同じだった。
 A だがその指紋はいずれも3本の同じ指の指紋だった。
 B その中に「犯人でない刑事の指紋」があった。
 C それは恐らくA現場で採取した警察官のミスによるものだろう。
 D その警察官の指紋がB現場からも同じように出た。
 E コンピュータによる指紋の偽造だ。
 F だからあなたが犯人だ
 主人公がどんな推理をしたって構わない。それこそが推理小説や推理ドラマの醍醐味だろうからである。だが、推理や想像ではなく証拠に基づく事実こそが有罪の決め手である。

258 医療過誤 書籍コピー 時期不明

 「・・・医者たちと話をすると、たいていの医者が過誤を経験している。どれもが苦渋な経験として残っている。・・・医療行為は過誤と無関係ではいられない。特に、人が必死に医療行為を求める救急、手術、麻酔、お産などの場面で過誤が生じやすい。医療行為の先っちょには、必ず過誤がくっついている。過誤は未熟や怠惰や冒険の先っちょだけでなく、熟練や情熱や慎重、そして誠意や使命の先っちょにもくっついている。技術とはそういうものなのだろう」(徳永進 死のリハーサル ゆみる出版P100)。

259 老化の信号 メモ 時期不明

 老化は加齢とともに進行すると考えるのが普通だろう。私もそう信じ、そう実感し、これまでそう書いてきた(別稿「手の甲のしわ」、「声も老いるのか」、「手遅れ医者は今でも健在」、「老いることと死ぬことと」参照)。髪も白くなり透けるようになってきていることを感じている。足の痛みも歯が抜けてくるのも、時間という流れが我が身体に与える影響なのだと思っていた。それはそれで間違いではないだろう。だがもう一つの老化のあることに気づかされ、いささかのショックを受けた。それは私たちが成熟と呼んでいる中にあったのである。「怒らないこと」、「諦めてしまうこと」、「強いものに依存してしまうこと」、そしてなによりも「戦おうとしなくなること」である。人は齢を重ねることで、円熟を増し大人になり豊かになっていくなどと、どうして信じてきたのだろうか。

260 渡す思い、受け取る思い 新聞投書、メモ 時期不明

 「選挙中、ある党のスタッフが駅前で選挙公約のビラを配布していました。ほかの人には声をかけながら配布していたの、私のことを未成年だと思ったのか、差し出しかけたビラをあわてて引っ込めてしまいました。・・・有権者でない未成年は相手にされないのでしょうか・・・」(朝日新聞 読者の声 19歳女子大学生)。
 これを読んで、なぜ「下さい」と言えなかったのだろうか。自分が未成年であることが無意識の負い目になっているからなのだろうか。相手には「有権者に渡そう」とする意思があったのかも知れない。幼稚園児までビラをばらまく必要はないだろうからである。逆にそんな風景を見ていたら、「無差別に見境なく、意味もなくビラをばらまいている」と思われてしまうのではないだろうか。「下さい」を言えなかったこの大学生の心の弱さに、どこか現代の若者の引っ込み思案さが感じられてしまった。

261 光速度不変の法則 新聞切り抜き、メモ 2012.11.5

 「・・・私たちの腕時計や置き時計は、時間がたてばだんだん狂ってくる。しかし。宇宙誕生から現在までと同じ137億年の時を刻んでも1秒と狂わないのが光格子時計だ。・・・光格子時計が実現した超高精度の時計によって新たに見えてくる世界がある。時間は柔らかく伸び縮みする。・・・一秒の『小数点以下18桁目』には、わずか1センチの高低差や、歩く人とじっとしている人の時間のずれさえも現われる」(朝日新聞、科学、1秒の精度を極める 日本の光格子時計世界標準狙う)。
 ニュートン以来信じられてきた誰に対しても不変の流れを持つとされてきた時間を、アインシュタインは運動している測定者によって進み方が異なるとあっさりと否定した。それも私でも分るような方程式を示してであった(別稿「時の旅人」、「時間って何だろう」、「巨大加速器の夢」参照)。その事実をいまや実験で試すことができるまでになってきているらしい。本当に光速度は観測者の速度にかかわりなく不変なのだろうか。


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                                     2013.4.9     佐々木利夫


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雑記帳始末記(20)

自作のホームページに雑文を発表してから10年になる。資料として作成したメモや切り抜きなどは発表したつど処分しているが、作品にできなかったものが残ったままになっている。それは作品にするだけの力がなかったことを意味しているのだが、それでも私の感性に訴える何かを含んでいたことだけは事実であろう。このまま朽ちさせてしまうのもどこか忍びないものがあり、処分する前にここへ刻むことにした。